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「魔射滅鉄は――」
「判ってるよエルメス。まずはコレで弱らせる」
キノが銃を構えると、魔物はゆっくりと大きな腕を上げてキノを指差しました。そして震える口調で、
「……が‥‥ら」
何か言いました。
「え~?なに?…エルメス今なんか言った?」
「“魔物”が何か言った。ボクじゃない。」
全く聞かれてなかったと知った魔物は大きく地団駄を踏みます。コンクリートの床が凹みました。
そしてもう一度息を吸って叫びます。
「お前があの時……あの時うどんを大盛りにしたからっ!!!」
男子と思われる声でした。空気の波で、調理台前壁のフックに掛けられたお玉や卵焼きフライパンがけたたましい音をたてて落ちます。
「…謎の~?心当たりというものは――」
「うどん…大盛り?……あぁ~…」
伸びていたはずのサモエド仮面が問う前に、キノは考え、一つ心当たりを見つけたようです。
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