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夕方。学校も終わり、木乃は寮の自室のベランダで寮母さんが作る夕食を待っています。
「ねぇ木乃」「……なに?夕食のメニューが分かったの?」「メニ…そんなのじゃないからねっ!学食のうどん玉のコトっ。」
なぁんだ!それを早く言ってよと、木乃は机からストラップ(以下エルメス)を目の高さに摘み上げました。
「で、わたしのうどんが何だって?」
「別に木乃のじゃ……まぁいっか。」
やけに真剣な目の木乃に、エルメスは溜め息混じりで話し始めました――
「今回の事件…魔物の仕業だと思う。そして魔の誘いに乗ったのは……木乃、多分君に恨みのある人…」
「えぇっ!わたし!?」
「うわぁ――――…っ木乃!」
オーバーリアクションにも程があります。驚いた木乃の手を離れ、天井スレスレを飛んだエルメスはボスンとベッドに着地。悪怯れる様子もなく、木乃はベッドに寝そべりました。
「つまり、犯人は魔物に成り果てた学生で、わたしを知ってる人ってコトでしょ?」
「木乃“が”知ってる人なら絞り込めるのに……」
この学園で木乃“を”知らない人って居ないんじゃないかなぁ~…と思いましたがエルメスは口にしませんでした。
「要するに、学食で待ち伏せして…」
銃のようにした指をエルメスに突き付け
「"ビックカノン~魔射滅鉄~"で、た―――んっ!とやっちゃえばいいんでしょ♪あっ!夕飯の時間だ~」
目覚まし時計を見て、木乃は部屋を出ました。
「…そんな軽々しく――‥まぁいいか。」
エルメスの呟きを、白ハトだけが聞いていたとかいなかったとか。
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