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担任をしている先生は、各々みんな、それぞれのクラスで給食を食べる。だけど、校長だとか教頭だとか、副担任だとか、そういう、“担任をしていない先生たち”は、だいたいいつも、職員室の自分のデスクで給食を食べる。捉え方によっては、これは、“せっかく学校に来ているのに”、なんとなく寂しい。
えっと、水崎は、2年だから、このへんだよね。
職員室は、一番前に教頭と教務主任の机。次に3年の先生たち、2年の先生たち、1年の先生たち、の順で、学年別にブロックになって机が並べられている。だから由香はゆらゆら歩いて、なにげに“2年の先生”のブロックをチェック。
あった…。社会の教科書が置いてある。ここかな。
「おっ、度会、なにか、用事?」
3年の英語、横山だ。
「別に?」
「じゃあ出ろよ?職員室は、用もないのに入ってくるなよ?」
「ていうか、度会さん、そこは、2年の先生だよ?3年の先生はあっちだけ」
2年の女子体育。和久井。
知ってるってば。ツンデレ女。
「うん、ていうか、ねぇ、」
「ん?」
「社会の教科書」
「どうした?」
「あまってない?」
「いるのか?まさか度会、教科書失くした?」
「うん。たぶん」
「失くすなよー。竹富先生、社会の、教科書あまってないですか?」
角の席から、3年の社会、竹富。
「うーん、余りは、確か、佐々木のが…。でも、あれは、佐々木のですからねぇ」
佐々木。3年の、登校拒否の女子。覚えてないけど、なんか、暗そうな子。
「とりあえず、佐々木のこれ、」
「あぁ、いやぁ、公民じゃなくて、地理と歴史」
「あぁ、地理と歴史かぁ。うーん…。俺の貸しとこうか?そのかわり、キレイに使えよ?」
「あっ、うん。貸して貸して?」
「『貸して下さい』」
「うん。貸して下さい」
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