I miss you.

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今日の由香の相手は、別々に2人。つまり、1人を相手したあとに、また1人ということだ。 今日は、楽だね。 由香はときどき、3人を一緒に引き受けたりすることもある。一度に相手をする人数については、それ以上の人数だった場合、オファーがあっても、由香は断ることにしている。 今日は1人と1人だから、まぁ、合計で5万とか6万とか。 たとえ1人でも、2回やれば取り分が増えたりと、組織にはいくつか細かい料金設定がある。そのあたりのことは、だいたい、出発前の電話か、送迎の車の中で決まる。 運転手は組織の人間で、だいたい、大学生が多い。だから由香は、学歴で人を見るなんて、バカげていると本気で思っている。 えっと、ちなみに確か、ゴムなしだったら8万。私に5万。アリの場合が4万。私に2万。私はいつも、ナシなら断る。そんな程度の、知識ぐらいならある。 毎回由香は、始めのメールに、“OK”のメールを返すとき、“送信”ボタンを押すのと同時に、“自分”のスイッチをオフにする。“切り替える”って言った方が適切かもしれない。 心を止めるみたいに。私は私でなくなるみたいに。さぁさぁどうぞ、召し上がれ。 行為のことは、由香はよくわからない。男がどういうのを喜ぶのかだとか、そういうことなら、たくさんたくさん覚えたけれど、いろいろな行為をしていて、またはされていて、由香の方が楽しいだとか、ましてや、気持ちいいだとか、なんていうようなことは、残念ながら、全くなかった。 でも、家にいるよりはマシだし、一人でいるよりはマシだし。しかも、お金もらえるしね。ついでに、なんとなく、“必要とされてる”、っていうような気分になれるから。 .
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