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シャワーを浴びているときに、由香はふと、やっぱり水崎のことを思った。間違いなく、好きでもなんでもないのだけれど、
水崎だったら、どんなふうに私を抱くだろう…。
流れる水に、ぼんやりそんな思いを浮かべた。
ヤバイ…。心が、しめつけられていく…。
由香はごまかすみたいに体をふいて、かき消すみたいに髪の毛を乾かした。
もう、早く眠ろう。別に私は、水崎に、惹かれているというわけでもなんでもなくて、ただ、もう少しだけアイツの授業を、聞いてみたいなぁって、ただ、それだけなんだから。
由香はベッドに、横向きで入って闇を見つめた。
ほどよい疲れと、お風呂の余韻。なのになんだか、眠れないんだなんて。
だったらこのまま、もう早く、さっさと朝になっちゃえばいいのに。だって、明日になれば私は、頑張って水崎にテストを渡すんだから。あっ、でも、だったら、少しは、ゆっくり眠っておきたいなぁ…。えーっと、タイミングは、とりあえず…。あーっ!もうっ!アイツ、どうして3年の先生じゃないんだろう…。いや、だからー、渡すのはー…。あっ!朝、アイツが来る前に、アイツの机の上に…。でも、寝たいしなぁ…。ていうかこんなこと考えてるうちに、さっさと寝ちゃえばいいのかなぁ…。
由香の目覚ましはマナーモード。朝は、夜働いている母親が隣りの部屋で寝ていて、うるさくすると、キレるから。だからときどき由香は、目覚ましに気づかないで、寝過ごしてしまうことだってよくある。
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