5人が本棚に入れています
本棚に追加
しかも、最近はもう、朝もぽかぽかしてるから…。えっ…?
由香はハッとして跳び起きた。
えっ?えっ?ほらーっ…。
目が覚めたら、もうとっくに朝だった。いつのまにだか由香は、グッスリと眠ってしまっていたらしい。
もうっ!
9時45分。
どうしよう。もう、行くの、やめよっかなぁ…。
二度寝か、登校か。まだ半分ふとんの中で、由香にはちょっと、究極の選択。
小さなテーブルの上には、今日水崎に渡すはずのテストが。
あれ?カバンに、入れたはずなのに。忘れたら、どうするつもりなんだろう、私…。
由香はベッドから出て、テストをすぐにカバンの中に詰め込んだ。
あ…。起きちゃった…。
顔を洗って、ハミガキをして、シャワーを浴びて、薄ーい化粧。
気づくかなぁ…。でも、ほかの先生が気づいたらうるさいから、やっぱり口紅はやめとこう。
由香はティッシュで口紅を拭き取ると、透明なリップクリームをぬって、口をつぐんで鏡ににこり。
スカート…。ギリギリまで、もうちょっと上げちゃえ。うん。よし。オッケー…。
春のぽかぽか陽気の中で、由香はちょっくら遅めの登校。清々しい春の心地の町並を、悠々と歩いていく。もうすぐ、3時間目が終わる頃。
テスト出したら、アイツ、なんて言ってくれるだろう…。
不安にも勝る、なんなんだろうか、こんな気持ちは。どちらにしても、そんなこんなで、由香の足取りは軽い。
紋白蝶が好き。紋黄蝶が好き。蛾でもなんでも、今ならきっと好き。
.
最初のコメントを投稿しよう!