I miss you.

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学校に着くなり、由香の行き先は、いつもどおり教室よりも保健室。由香が教室に顔を出すことは、2年の3学期ごろから、もう滅多になくなっている。 「あぁ、度会、早いじゃん。そこに、並んで?」 3‐1の島田。理科。 早い?えっ?なにこれ。 保健室前の廊下に、生徒たちの行列。 「耳鼻科検診」 和久井、おまえに聞いてないし。ていうか、そっか、春は、こういう診察系が立て込んでるから、いつもよりも、チャンス多めじゃん。 「ねぇねぇ、島田ぁ、これって、3年から?」 「ううん、1年から」 てことは…。 由香はいろいろ考えた。 3年の先生は、今からちょっと、バタバタするんだよね。だから、私にいちいち構ってる暇はないからー、私は安全…。だけど、2年の先生は、みんな普通に授業に戻ってるから…。うーん…。 「私、先に受けたい」 強引に、順番ぬかし。 「音が聞こえたら、ボタンを押して下さい」 検診は2分で終わって、由香は急ぎ足で、いざ2年の校舎へ。 「おぉっ!度会!」 わっ! 担任の村中。英語。由香は3‐2の行列と鉢合わせ。 「私、もう受けた!」 由香はぴょんぴょんと2年の校舎へ。さっそくフラフラと水崎を探し回った。とりあえず、中庭を歩いて、2年の授業を窓からのぞく。 2‐1、国語。ちがう。2‐2、数学。ちがう。2‐3、誰もいない。理科。理科室かな。2‐4、英語。ちがう。 あれ?2階かな。 2年のクラスは、1階に1組から4組。2階に5組から7組。 由香はなんだか弾むような足取りで階段をのぼった。ポケットには筆記用具と、もちろんテスト。 5組、英語。6組。数学。 あれっ?てことは、7組? ガラッ! 5組のドアが開いた。 うわっ…。 「オイ、おまえは、隣りじゃないか?」 英語の品田。こいつネチネチしててウザイんだよね。 「3年は、こっちの校舎には、用はないはずじゃないか?」 退散…。7組、社会かなぁ…。 由香は最後に、ちょっとだけ背伸び。 「度会!」 「わかったって!ケチ!」 .
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