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「はい。じゃあ、今から配るから、40分間、」
長っ!
「えーっ!」
「長っ!」
ほらね。あははは。
「は~ぁ?なにそれ?」
「マジ意味不明ー」
「長すぎ先生」
「ホントのテストとほとんど変わんないじゃん!」
「40分とかマジありえんし」
今年の2年、まじウザイ!
「30分にしようか?」
「えーっ!」
「短かっ!」
あははははっ。おまえら今、“長い”って言ってたじゃん。
「どっちやねん。じゃあ、間を取って、35分。はい始めー」
「えーっ!ちょっと、先生、もう始め?」
「うん。始まったよっ」
コイツ、絶対Sだ。
「あぁ、そうそう、しゃべりながらやってもいいよ」
はぁ?何コイツ?
「しゃべりながらでいいんですか?」
「今回の、これはね。そりゃあ、普通のテストのときとか、ほかの先生の授業では、絶対ダメよ?」
そりゃそうだ。
「たーだーし。“ただし”。聞けよ?」
なになに?
「周りと相談するのは禁止。答えを言うのも禁止。うるさくなるのはダメ。ちゃんと前を向いて、やる。それが条件。それを守れるなら、しゃべりながらやっていいよ」
なんなのコイツの授業。ていうか、顔、どんな奴だっけ。
由香は両ヒザ立ちになって、芝生をトコトコと歩いた。
「先生、ヒントはしゃべってもいいんですか?」
「ヒントは…。うーん…」
『ダメ』って言うよ?
「ダメ」
ほらね。
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