夕暮れイロのほっぺた

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 ざくり、ざくり。  軟らかそうで、意外に小石が多い土をリズムよく掘る人物の傍に、ちょこんと腰を下ろす。  緩やかに波打つ栗色の長い髪がふわりと肩から落ちる。 「何やってるのって聞いたほうがいい?」  少し高めの声で話す女の子は、延々と土掘りをする男の子に半目で話しかける。  学校の帰り道に、土掘りをする幼なじみを発見したのはそれなりにショックだった。  何の変哲もないちょっと草とか生えてる空き地で、高校生にもなったヨウが熱心に土堀りをしているのだ。  しなやかな黒髪に、綺麗という言葉の方が似合う羨ましくなるほど整った顔の男子高校生がだ。  ざくり、ざくり。  リズミカルな音はなおも空き地に響く。  ミカはけっこう山盛りになった土の山と、どんどん深くなる穴を無言で眺め続けた。
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