夕暮れイロのほっぺた

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 でも、ヨウの次の言葉でミカの顔から笑いがすっと消えていく。 「ここじゃないどこかなら、違う未来があったのかな」  ヨウは真っすぐにミカをみつめる。 「………………」  思わず言葉に詰まる。  それについて、ミカは答えれない。いや、正確には答えたくない。  ここじゃないどこか?  でも、それはそういうことを意味してる。  そう、だからそこにはないのだ。    ミカは俯く。 「ヨウは別の未来が……でも違う"未来"には"今"がないのに、それでもここじゃないどこかがいいの?」    なんだか急に悲しくなって、掘り返された土を手で散らかした。 「ヨウは、私と会わない"未来"がいいの。その方が幸せだと思えるの……?」  本当はそう聞こうとしたのに、喉につっかえた。答えを聞くのが怖い。
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