第19章 イブと誕生日…再び

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街はセールに誘われた人々で賑わいながら、あっという間にクリスマスイブを迎えた。 瀬谷さんは、お昼過ぎの便で渡米することになっている。 「見送りに行かないでいいの?」 気付かないうちに態度に出ているのだろう。 佐登美が聞いてきた。 「あ、ごめん。ぼーっとしてた?」 私は聞こえなかったフリをした。 「別に……」 佐登美はそれ以上何も言わなかった。 本当はこのまま空港まで駆けつけたい衝動に駆られていた。 でも、行って、どうすればいいのか、どう言えばいいのかわからない。 どう考えても行動に移せないのはわかっていた。  
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