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「美奈絵、遅いね」
佐登美が時計を見ながら言った。
話をしていて気付かなかったが、確かに午後9時を過ぎている。
「何かあったのかな?」
二人で不安な視線を絡ませた時、入り口のドアが静かに開いた。
「あ、美奈絵」
佐登美の言葉に振り向くと、少しぼーっとした美奈絵が入り口に立っていた。
さゆりさんと何か話をした美奈絵はこっちを見て私達に気付き、ゆっくり降りてきた。
「どうしたの?心配したよ」
私が声をかけても、美奈絵は少し遠い目をして立ち尽くしていた。
「……ました」
美奈絵が何かを言ったが、店内のざわめきにかき消された。
私達に聞こえてないとわかると美奈絵は叫んだ。
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