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今、こうして瀬谷さんの部屋でカフェラテを飲んでいる。
彼はいつもの場所を動かない。
だから、私が彼の隣に座っている。
私が彼の傍にいればいいのだ。
何かを求めたり、焦ったりする気持ちは捨てた。
居心地の良い時間と空間……
それがどれだけ大切かを知ったから。
広瀬さんとはお付き合いを断った。
彼は「わかっていたよ」と小さく笑って言った。
すごく優しい人だった。
だからきっと、素敵な相手が見つかると思う。
私がいなくなって、美季さんは攻勢を強めた。
広瀬さんは、私とは正反対の彼女を言うほど避けてる感じではない。
意外とお似合いなのかもしれない。
佐登美は、相変わらず一人だ。
前みたいにまずは付き合ってというのをやめたと言っていた。
今からは焦らずゆっくり合う人を探すらしい。
「あんたを見てそう思ったわ」
そう言われて、喜んでいいのか悪いのかわからない。
紀子さんは相変わらず、私生活が謎だ。
イブやら、誕生日やらイベント的な日には、必ずどこかへ出掛けていくので、きっとオトコはいると思うが、一切語らない。
結婚もする気はないようだが、いきなり「結婚したわ」と言うかもしれない。
それに、画廊が軌道に乗って、何かまた始める気配もある。
本当にアクティブな性格だ。
美奈絵は何やら独自の研究を始めたらしい。
彼女もしっかり自分の人生を生きている。
とりあえず、好みのオトコはいないようだ。
それと、あの瀬谷さんが乗るはずだった飛行機は、機器のトラブルはあったが、無事にアメリカに着いた。
飛行機はそう簡単に落ちないらしい。
いろんな人と関わりながら、この夜景の街で自分の物語を作り上げていることが、とても幸せだと思う。
大切なモノを失ってから気付くことはないように、自分に素直に生きていこうと思う。
全ては自分の思いだから。
夜景の街物語 終わり
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