第20章 エピローグ

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今、こうして瀬谷さんの部屋でカフェラテを飲んでいる。 彼はいつもの場所を動かない。 だから、私が彼の隣に座っている。 私が彼の傍にいればいいのだ。 何かを求めたり、焦ったりする気持ちは捨てた。 居心地の良い時間と空間…… それがどれだけ大切かを知ったから。 広瀬さんとはお付き合いを断った。 彼は「わかっていたよ」と小さく笑って言った。 すごく優しい人だった。 だからきっと、素敵な相手が見つかると思う。 私がいなくなって、美季さんは攻勢を強めた。 広瀬さんは、私とは正反対の彼女を言うほど避けてる感じではない。 意外とお似合いなのかもしれない。 佐登美は、相変わらず一人だ。 前みたいにまずは付き合ってというのをやめたと言っていた。 今からは焦らずゆっくり合う人を探すらしい。 「あんたを見てそう思ったわ」 そう言われて、喜んでいいのか悪いのかわからない。 紀子さんは相変わらず、私生活が謎だ。 イブやら、誕生日やらイベント的な日には、必ずどこかへ出掛けていくので、きっとオトコはいると思うが、一切語らない。 結婚もする気はないようだが、いきなり「結婚したわ」と言うかもしれない。 それに、画廊が軌道に乗って、何かまた始める気配もある。 本当にアクティブな性格だ。 美奈絵は何やら独自の研究を始めたらしい。 彼女もしっかり自分の人生を生きている。 とりあえず、好みのオトコはいないようだ。 それと、あの瀬谷さんが乗るはずだった飛行機は、機器のトラブルはあったが、無事にアメリカに着いた。 飛行機はそう簡単に落ちないらしい。 いろんな人と関わりながら、この夜景の街で自分の物語を作り上げていることが、とても幸せだと思う。 大切なモノを失ってから気付くことはないように、自分に素直に生きていこうと思う。 全ては自分の思いだから。 夜景の街物語 終わり
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