第2章 クリスマス~二つの出会い

16/29
前へ
/280ページ
次へ
紀子さんの中ではしっかりビジョンができあがっているのがわかる。 やり手になったねと言われたが、そんな大げさなことじゃない。 紀子さんが話すタイミングを計っていただけだ。 きっと紀子さんの予定どおりに物事が進んでいく。 でも、それは決して嫌なことではない。 彼女は全てに余裕があるから自分のことだけを考えない。 関わる人がみんな気持ちよくなるようにしていく。 そこが紀子さんのすごいところだ。 私の中で、彼女は超えられない存在だけど、そうなりたいと願う存在でもある。 この人の側にいられることを幸せだと思う。 一緒にいる間にいろんなことを学びたいと思う。 まだ、昨日のように落ち込むこともあるが、いつかは、変われると思いたい。 ただ、代わり映えのしない人生に飽きてしまうのは事実だ。 紀子さんでさえもきっとそうなんだろう。 だから、次の展開を求めるのだろうとも思う。 そこが完璧に見える紀子さんをまた人間らしく見せるエッセンスでもある。 いろいろ考えていると、紀子さんの魅力に気付くばかりだ。 さて、自己嫌悪に陥らないうちに仕事をしようと思う私だった。  
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9233人が本棚に入れています
本棚に追加