第2章 クリスマス~二つの出会い

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「今、なんて?」 「だから、あのビルの持ち主はわ・た・し」   自分を指さしながら紀子さんが言った。 「そ、そうだったんですか……」 言われてみれば、今まで大家らしき人に会ったことがなかったし、いろいろなトラブルには管理会社が対応してたから、紀子さん自身が大家だったとは思いもよらなかった。 セレブな人だとわかっていたけど、ビルまで持っていたなんて……。 「あの、つかぬ事をお聞きしますが、持ちビルはあそこだけですか?」 「ううん。そのブティックの移転先の元町のビルも。」 さらりと言ってのける紀子さん。 「ああ、そうなんですか」 やはり、私とはスケールが違う人だったんだと、あらためて思い知らされた。 「あ、でも、今住んでるところは父の名義よ」 にこっとして言う紀子さんだが、それはなんのフォローなんだろう? 余計に落ち込むんですけど。 くしゅんっ! 気が抜けた私は寒さを感じてくしゃみをした。 「やっぱ、クリスマスの夜は寒いわね。帰ろっか」 「はあい」 紀子さんにまたもや賛成。 階段を上り、道路沿いに停まっているタクシーをつかまえて帰路についた。 紀子さんは先に私を家まで送ってくれ、「メリークリスマス」と言いながらそのまま乗っていった。  
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