第3章 いつもと違う年末

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クリスマス以来、特に何事もなく、本年の営業最終日である30日を迎えた。 朝からお客の途切れを見計らって大掃除をした。 お昼過ぎ、棚の上の方の埃を取り終わって一息ついた時、紀子さんが言った。 「広瀬さんから何か連絡あった?」 「いえ、別に」 「あ、そう。たか子ちゃんは連絡してないよね?」 「はあ……紀子さんは、私がそんなことできる性格じゃないと知ってると思いますが」 「そうよねぇ……」と言った後、横を向いて口に手を当て、小さな声で「広瀬君詰めが甘い!」と、つぶやく紀子さん。 「あの、聞こえてますけど」 ちょっとジト目で見る私。 「あはははは」 紀子さんはわざとらしく笑った。 「それで、広瀬君のこと、どう?」 ついでだとばかりに紀子さんが聞いてきた。 「前にも言いましたけど、素敵な人だとは思いますよ。でも、私にはちょっと合わないんじゃないかと思うんですけど」 「広瀬君、ぴーんち!」 また、横を向いて小さな声で言う紀子さん。 「だから、聞こえてますって」 広瀬さんから何か頼まれているのだろうか? それとも、個人的にくっつけたいのだろうか? 「第一、まだ一回しか会ってないし、ほとんど話もしてないんですよ」と、私が言うと、 「そうよねぇ」と言いながら、紀子さんは、なんか悪巧みを思いついた魔女のような表情になった。 そしてさらに、 「じゃあ、お昼に行ってくるわね」と、言うとさっさと出掛けてしまった。
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