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部屋の片付けをした後、レイチェル邸に寄ってから買い物に行くことにした。
レイチェル邸も営業は昨日までだった。
今日は店が閉まっているので玄関に回りノッカーを叩く。
「はーい」
エプロン姿のさゆりさんがぱたぱたと出てきた。
「こんにちわ」
「あら、たか子ちゃん。どうしたの?」
さゆりさんはニコニコと嬉しそうに言う。
(なんかいつも幸せそうだな~)
思わずこっちも笑ってしまう。
「今年もいっぱいお世話になったからお礼を言いに来たの。お掃除してたの?」
「あらあら、こちらこそ。そうそう。今ね、大掃除の途中なのよ。うちの人も庭掃除してるのよ。さあ、入って入って」
相変わらず、忙しくしゃべるさゆりさんだった。
「じゃあ、ちょっとお邪魔します」
私は指先でちょっとを示しながら言った。
居間に行くと庭を掃いているマスターが見えた。
私に気付き、にこっとして手を挙げながらやってきた。
「やあ、たか子ちゃん。いらっしゃい。」
「こんにちわ。今年もほんっとにお世話になりました」
そう言ってぺこっとお辞儀をした。
「いや、いや。こちらこそ。」
マスターがソファに座るように促したので、遠慮なく座った。
しばらくしてさゆりさんが珈琲とショコラケーキを持ってきてくれた。
「たか子ちゃんはお掃除終わったの?」
さゆりさんが珈琲をマスターに渡しながら聞いた。
「とりあえず!…終わりました」
前半にアクセントをつけて言いながら、笑ってごまかす私。
自分では終わったつもりだからいいと思う。
「そっか。終わったのなら、まあ、ケーキでも食べていきなさい」
マスターが苦笑した。
「はい。いただきま~す」
「あれ?」
さゆりさんの持って来たケーキは見覚えがなかった。
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