第3章 いつもと違う年末

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それからまた1時間待たされた…… 「すまない。待たせたね」 ストーリーが佳境に入る頃、瀬谷さんが声をかけてきた。 「あ、終わりました?」 もうちょっと読みたかったが、ぱたんと文庫本を閉じて顔を上げた。 既に彼がいろんな機械の電源を落としたり帰り支度をしている。 窓から外を見るともう真っ暗で、前にも校舎があるから特に光も見えなかった。 「よく考えたら、今日はお店もやってないよね?」 「あ、そうですね……大晦日ですもんね」 どこに連れて行ってくれるか期待していたが、仕方ない。 「じゃあ、僕の手料理でいいかな?蕎麦は桐渕さんに任せてさ」 「え?先生、料理もできるんですか?」 「まあ、一人暮らしが長いからね。イタリアンでいいかな?」 「はい。大好きです」 また、ちょっと見直した。 瀬谷さんのことだ。 きっと料理もできるのならこだわって作るはずだ。 その美味しさを想像してお腹が鳴りかけた。 「では、帰ろう」 真っ暗になった研究室を後にした。  
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