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翌日、気が付くと、もうお昼だった。
夢も見ていない。
こんなに深い眠りは、本当に久しぶりだ。
カーテンを開けると眩しい光が差し込んできた。
すごくいい天気だ。
きっと、初日の出が見られたはずだ。
そう思うと、少し後悔した。
この間までは、初日の出を見ようと思ったことがなかった。
見損ねたとはいえ、これもまた一歩、進歩したということなのだろうか。
瀬谷さんは、この三が日も研究室に行っているはずだ。
佐登美は実家。
紀子さんは香港。
マスターのところも、正月はさすがにセレブな一族が挨拶にやってくる。
なにせ、元は老舗の貿易会社の社長だ。
さて、いつもの休日のようにカフェで読書でもしたいところだが、お気に入りのカフェはまだどこも開いていない。
映画も特に見たいものをやっていなかった。
ふと、広瀬さんのことを思い出したが、きっと彼の所もセレブな一族の集まりとかで忙しいだろう。
それに、彼には実家に帰ると言ってある。
今更、実は家にいましたとは言えない。
食べるものを買いに出掛けようとしたら、ドアの下に手紙があった。
さゆりさんだった。
『おせちを作りました。良かったら瀬谷さんと食べてね』と書いてある。
ドアを開けると、お重が入った紙袋が置かれていた。
お昼に食べようかと思ったが、『瀬谷さんと』と書かれていたので、開けるのは彼の帰りを待つことにして、自分のお昼ご飯を買いに出掛けた。
結局、その後は部屋で読書をして過ごした。
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