第4章 新年の始まり

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少し安心した。 広瀬さんはある意味一目惚れじゃなく、私のことを知った上で興味を持ってくれたようだ。 普通の恋は、ここが好きとか、ここが気が合うとか、積み上げていって生まれるプラス思考の恋だ。 でも、一目惚れというのは、最初に好きになったところから、いろいろ知られていくうちに、ここは合わないとか、ここが嫌だとか、マイナスされていく恋のような気がする。 だから、一目惚れされるのは好きじゃない。 バスの彼を断ったのはそれもある。 「広瀬君にはバラしたこと内緒よ」 紀子さんは口に指を当てて言った。 「どうしよう?私隠し事って嫌いなんですよね。さっきも実家に帰らなかったこと言ったし……」 「あ、そうだ!で、何かあったでしょ?」 紀子さんがさっきのことを思い出した。 やぶへびだった…… 「じゃあ、バラしませんから」 きっぱり真顔で言う私に、「う゛っ……」と口ごもる紀子さんだった。 「紀子さん、お昼どうぞ」 さらに私が外へ手で促すと「はあーい……」と言いながら、しぶしぶ出掛けていった。  
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