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瀬谷さんだった。
「カフェラテ飲みに来るかい?」
彼はいつもの普通の顔してそう言った。
「はい!」
何かほっとするものを感じて思わず大きな声で返事してしまった。
「今日は元気だね……」
戸惑いながら彼が言ったが、私自身、自分の声に戸惑っていた。
彼の部屋に入って、ふと思いつき言った。
「先生、お酒にしましょう!ちょっと飲みましょうよ」
「あ、そう」
きょとんとしながらも瀬谷さんは「何がいい?」と聞いてきた。
「そうですね。ワインあります?」
「あるよ。じゃあ、座ってて」
そう言って彼はちょっとしたおつまみを作ってワインを用意してくれた。
「かんぱ~い!」と言って瀬谷さんのグラスにカチンと合わせ、一息で飲んだ。
「ぷっはぁあ!美味しい!お代わり!」
私が言うと瀬谷さんは普通の顔のまま目を丸くしながらも、注いでくれた。
「何かあったのか?」
さすがに変だと思った瀬谷さんが聞いてきた。
「いえ、何となく今日は気分が沈みがちなので、景気づけです!」
私は元気に言った。
「そうか」
彼はそう言いながらおつまみをつまんだ。
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