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その後は記憶がない。
朝、目覚めると自分の部屋のベッドだった。
ちゃんとパジャマに着替えている。
(自分で着替えたのかな……?それとも……)
少し不安になりながらシャワーを浴びた。
出掛けに瀬谷さんの部屋をノックしたが、やはり彼は既に出掛けていた。
(今夜謝らなきゃ……)
そう思いながらle vantに向かった。
案の定、紀子さんが私にひっつきまわって夕べのことを聞こうとする。
「素敵なお店でした」
「それで?」
「料理も美味しかったです」
「それで?」
「夜景もきれいで」
「それで?」
「お客さんです」
「それで?」
「いらっしゃいませ」
そんな紀子さんをほっといて接客する私だった。
後は逃げまくった。
しびれを切らせて「いいもん!広瀬君に聞くもん」と言う紀子さんに、冷たさを載せてにこっと微笑むとその後は私と距離を取っていた。
意外とかわいいところがある紀子さんだった。
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