47人が本棚に入れています
本棚に追加
――今は昔のこと。
かつてこの地には『ノルン』と呼ばれる一族がいました。彼らはあるものを代々受け継ぎ、守り続けていました。
それは今の世で言う『魔法』でした。彼らは要らぬ混乱を避けるため、魔法を他の者に渡らぬようにしていたのです。
しかし。時が経つにつれ、ノルンの一族以外の人間も魔法を使えるようになっていってしまいます。
彼ら一族はその事態を危惧し、一族総出で魔法を完全に消滅させるための儀式にとりかかりました。
その秘儀が執り行われた日。何が起こったのか。この世界のほとんどの人間に魔法が行渡ってしまったのです。
これが現在の世界で、多くの人が魔法を扱える理由です。
そしてこのことが発端となって、世界で混乱が始まりました。
人が人を屠り。人々が人々を屠り。国が国を屠り。……世界で争いが絶えず行われるようになりました。
そしておびただしい数の人々が死に、いくつもの国が他の国に飲み込まれました。
自らが導いた結果に恐怖した各国の王達は、戦争を止め、協力して平和を作っていくことを決意しました。
かくして世界連合が作られ、仮初の平和の下に、世界に平穏が訪れました。
――ではこの全ての根源、ノルンの一族は……
最初のコメントを投稿しよう!