気になる人

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前と後ろに弟をぶら下げ後ろに回している手の性でドアを開ける事すら出来ない。 「……どちらさんかドアを開けてくれないかな?」 仁の少し呆れた様な声に「俺が開けるー」と信が振り返りドアノブに手を掛け様とするが腕の長さが足りなく後少しの所で届かない。 仕方なく体を少し屈めてやれば小さな手がドアノブを下げ押し開ける。 「ありがとうね。」 そう言って入ろうとした瞬間「モテモテだねー」と言う渋い声が飛んで来て驚く。 リビングに視線を移せば見知った顔が並んでいた。 親戚が来る事を知らなかった仁は帰って来た事を後悔するのにそんなに時間は掛からなかった。 社交辞令の挨拶をしようとしたが脚に受けた衝撃に遮られる。「仁兄ちゃん」と可愛い声で連発し、しがみ付いてくるのはまだ幼い従弟。 自分も抱っこしてと言う様に頻りに腕を伸ばしてくるから流石に困ってしまう。 「久し振りだね、仁くん。」 「お久し振りです。」 後悔してる事を少しも出さず背中と前と足元に気を付けながら頭を下げ小さく笑う。挨拶を交わしてる間も「抱っこ」と訴えてくる従弟に「腕が足りないよ」と苦笑いをする。 どうにか腰を下ろすが離れてくれなかった。
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