気になる人

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胡坐をかき両膝に弟を乗せている仁に助け船を出してくれたのは父親の圭一良だった。 「そんな風にしてたらお兄ちゃん何も食べれないだろ。」 「ちゃんと座って食べなさい」と言う声をいとも呆気なく「やだー」と拒否する弟に仁は困惑する。 基本的に優しい仁は無碍に「退いてくれ」とも言えず苦笑いをするしかなかった。 それでもさすがに脚が痺れてきて困った様に弟二人の頭を撫でながらそっと話し掛ける。 「信、忠治…お兄ちゃん脚が痺れてきちゃったよ。少しでいいから下りてくれると助かるな?」 宥める様に優しい声音で言えば二人は素直に下りてくれた。 「ありがとう」と微笑みホッとしたのも束の間、今度は幼い従弟が寄って来て当たり前の様にちょこんと脚の上に座ってくる。 仁はどうする事も出来なくて乾いた笑みを浮かべると諦めた様にテーブルに並んでいる料理に手を伸ばした。 親戚の伯父さんからは「仁はお父さんみたいだね」と言われどう反応していいか分からず取り敢えず愛想笑いだけをした。 「仁は今、大学生だったけ?」 「はい。今、三年です。」 同じ様な事を聞かれたくない仁は質問されそうな事を先に口にするが正直ほっといてほしかった。
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