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  実家での時間はとても早く過ぎていった。 自分は決めていたことがあった。     光輝と別れる。     遠距離は無理だった。 限界。         江別へ帰った。 光輝とは別れてもメールは毎日のようにしていた。 不思議。 光輝と別れたらそれで終わりだと思ってたから。 また付き合うわけでもない。 でもそのままメールのやりとりは続いていた。         しばらくして、また圭太と付き合った。 何回目だろう。         これから普通の生活が 楽しいことがあると思ってたのに。             4月 楽団に新入生が入った。 かなりの人数。     だんだん人のいるところに行くのが嫌になっていた。     合同演奏会が近づいていた。 合同演奏に参加することにした。   昨年参加して、すごく楽しかった。 また参加したかったから。     圭太の親が札幌に引っ越してきていた。 よく実家に連れていかれた。 ご飯ご馳走になったり、とてもよくしてくれた。       でもタバコのことで何回も喧嘩した。 吸いはじめた原因はあなたなのに。       6月 いつものようにコンビニへ買い物に出かけた。 コンビニまでは数分で着く距離だったが、その時はすごく長く感じた。   おかしい・・・。   人の話し声、視線、笑い声。 全て自分のことのように感じる。 今までそれほど気にせず歩けていたのに。   早足でコンビニへ向かい、すばやく買い物を済ませ、家へと向かった。   きっと気のせいだ。   そう思い込もうとしていた。     家に着き、圭太にメールを打ちながら遅めの昼食を作る。 その時にはもう怖さなんて忘れていた。 外から近くにある大学の生徒達の声が聞こえる。   「もうこんな時間か。」   大学の側に住んでいたので、生徒達の声で講義終了時間がわかるようになっていた。     自分はほとんど大学には行かず、サークル以外は家で過ごしていた。 ほしかった資格もあったし、行こうとは思うのだが、教室に入るのが怖かった。 いじめられてた訳でなく、逃げ場がない教室に90分間いることが本当に苦痛だったのだ。
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