平穏な日々

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とある学校――― 木の葉も散り、冬休みも終え、冬真っ盛りの時期。 学校は男子は学ラン、女子はセーラー服を着ていた。  休み時間開始のチャイムが学校全体に鳴り響き、皆が、がやがやと移動教室の準備をしている中で、2人の男子は話をしていた。 「後輩はどんな感じだった?」  問い掛けたのは、司馬恭介(シバ キョウスケ)。 サッカー部の元副部長で皆を和ますクラスのムードメーカーでもあるクラスの人気者だ。 「一回戦は突破できるだろうな」 答えたのはサッカー部の元部長、須木宏之(スギ ヒロユキ)。身長がやや高く、中学サッカー界では、少し有名で高校もスポーツ枠推薦で既に決定していた。 2人の今の話題は、後輩の市大会についてだ。 「でさ―――」 キ~ン~コ~ン カーンコーン いきなり、2人の会話を休み時間終了を告げるチャイムが遮った。 「しまった」 「やべっ!」 2人は焦りきった声をあげ、同時に周りを見渡した。しかし、周りには誰もいない。 それにようやく気がついた2人はダッシュで廊下を駆け抜け理科室へ向かって行った。 チャイムで皆が席に着きはじめた隣の教室を駆け抜けて行った2人を見て河合祥(カワイ ショウ)はクスクス笑っていた。 祥は、サッカー部ではないが、恭介、宏之と行動を共にすることが多い。 「また、やってるし」 祥はいつものように、二人を小馬鹿にしたような口調だった。
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