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どう見ても学生には見えない燎臥に、俺は頭を捻った。
体格や表情から言って、大学生としては落ち着きすぎている。
「教授……とか?」
それにしても、雰囲気が似つかわしくないのだが。
「燎臥サンて、幾つ?」
「幾つに見える?」
思わず聞いた質問を質問で返されて、俺はまたしても頭を悩ませる。
年上なのは間違いないだろうが、正確な年齢など皆目見当がつかない。
「……二十五才……くらい?」
「残念。二十五才は嬉しいけど、そんなに若くない」
「え?もっと年上?」
「今年で三十になるよ」
雰囲気が落ち着いてるなぁとは思ったが、そんなに年上だとは思っていなかった。
俺も高校生と間違えられるほど童顔だが、それにしても燎臥は若作りだ。
「あれ?でも、なんで大学なんかに居るんだ?」
ふいに浮かんだ疑問を口にしてみると、燎臥は笑って答えてくれた。
「仕事でね、寄っただけ」
用事を済ませた帰り際に、俺の車を発見したんだと燎臥は言った。
「目の前をもの凄いスピードで横切って行ったから、興味が湧いて追いかけてみたんだ。
こう見えて、俺も車は大好きだからね」
言うだけのことはあって、燎臥の車は走り屋だったら溜め息が出るくらい綺麗に仕上がっている。
燎臥は、自分の車をちらりと見て笑った。
仕草のひとつひとつが妙に華をもっていて、二十歳になってまで高校生と間違えられる俺とは大違いだ。
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