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豪華なアーチ型の門を見上げ、透哉は唖然とした。
手にした一枚のメモと門の奥に広がる敷地を交互に眺め、立ち尽くす。
───なんじゃこりゃあ?
某刑事ものテレビドラマの主人公と同じ台詞を思い浮かべ、メモ用紙を握り締めた。
透哉の手に握られているメモは、先日大学の構内で出会った東雲燎臥に渡されたものだ。
『今日は会えてよかった。
もしよかったら、週末遊びに来てくれ』
そう言って燎臥に手渡された一枚の用紙には、住所と、簡単な地図が描かれていた。
『今週はちょうど予定がなくてね。
そこに居るから』
気軽に遊びに来てくれと言われ、透哉はここにいるのだ。
格子状の門の奥に広がっているのは、透哉が今までに見たこともないような洋風の庭園と、宮殿のような建物。
───と…取り敢えず、インターフォンか何か……。
不法侵入をする訳にも行かず、中に居るであろう誰かに来訪を告げようとしたが、インターフォンらしきものは見当たらない。
「何なんだよ……いったい…」
目当ての呼び鈴も見つからず、どうすることもできずに透哉は車に戻ろうとした。
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