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「俺の顔に何か?」
あまりの美貌に見入ってしまった俺の耳に、これまた低音の、耳に心地いい声が流れ込んできた。
「いや、格好いいから……つい…」
思った事をそのまま口に出してしまい、俺は怪訝な顔をされてしまう。
「あっ。その……。
変な意味じゃなくてっ!」
言ってしまってから慌てて弁解する俺を見て、喉の奥で男が笑う。
その笑顔がまた様になっていて、世の中には、どんな表情をしても似合う人間がいるものだと感心してしまった。
ドアを開けて降り立った男は、かなりの長身だった。
俺の身長より、確実に頭ひとつ分は高い。
───背ぇデカっ!
立っているだけで存在感のある男と自分を比べてしまい、俺はちょっとだけ切なくなってしまった。
深い瞳の色といい、日本人離れした長身といい、完璧なトータルバランスを誇る男の風格に圧倒される。
同じ男であるはずなのに、童顔の俺とは比べものにならない。
憧れ半分、妬み半分で見上げた俺の視線の先で、形のいい唇が動いた。
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