28人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
今でも思い出す。
平成13年1月31日。
高校2年生の僕は学校で泣き崩れた。
小学生から野球を続けていた僕は高校も地方からの誘いで親元を離れた。
お袋は絶対に反対していたが、親父は『男なら頑張って行ってこい』と送り出してくれた。
両親は共働きで飲食店を経営している。
地元では名の知れている有名店だ。
なんせ親父が頑固者。
職人気質で、負けず嫌い、それ故、親父の料理は最高においしくて、評判が良かった。
そんな両親が自慢だったし、大好きだった。
地元に帰れるのは夏休み4日間、冬休み1週間だけ。
いつもはムスっとしている親父も、僕がいるときは笑って酒を飲んでいた。
『練習きついか?』
『背番号もらえそうか?』『彼女はいるのか?』
お袋も弟も寝静まった夜中、親父は僕を男として認めてくれた。
『お前が20になったら一緒に酒を飲みに行こう。』
これは僕が小さい頃からの親父との約束。
僕も早く酒を飲める歳になりたいと強く思った。
最初のコメントを投稿しよう!