繋がる毎日、見えない手紙

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繋がる毎日、見えない手紙

  繋がる毎日 いつも不透明な明日   慣れない生活で 少し疲れた身体   変わる世界に追い付けず 心は極度の筋肉痛   カラカラに渇いた喉 潤いを求めても そこに「水」はない     倒れこむように 布団に身体を預け   不確かな視力で 暗闇に光る情報を読み取る   発展し続ける近代文明 掌に納まる通信手段     情報網に割り込んで 君に会おうと思ったんだ   いつもより長めの ちょっと手のこんだ手紙   目には見えない 2進数と少しの信号でできた手紙   精一杯、 何かを伝えたくて 何度も言葉を選んで 君への思いをつづる   豆電球が少し眩しくて 少しだけ目を閉じた     まぶたの裏には 笑ってる君がいた     垂れ流しのラジオ 鳴り響く2時の時報   慌ててまぶたを開く僕   手の中には書きかけの手紙 背中にはほんの少しの疲労感     時間は待ってくれない 瞬きするだけでも時は過ぎる   置き去りの左手 飾り物の右手     偽りのない想い     今すぐに会いたいよ   言葉だけでも   形の見えない手紙でも     信号化された世界 繋がり続ける毎日   足早に過ぎる日常は 涙を流すことも許さない     君に会えないまま 僕は手紙を消した     垂れ流しのラジオ 送れなかった手紙   少しずつ犠牲になる毎日     目をつむると繋がる毎日   眠りたくはないのに 身体はそれを許さない     …ごめんなさい     後戻りはできないよ すべて自分で決めた道   歩くしかないんだ   つらくても、弱くても     送れない手紙を 握り締めたまま     目を閉じればもう明日 もう君に会えない今日     繋がる毎日は   今日も少しだけ残酷でした
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