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確かなもの
育ちすぎた僕ら
過去を懐かしみ
目に映る未来に
華やかな色はなくて
疲れた、と
ありきたりな言葉を
ただ垂れ流す
あの頃はよかったと
あの頃に戻れたらと
叶わないと解っていながら
過ぎた時間を拾い集める
汚れるのを嫌い
裸足で駆けるのを止めた
汚れるのを嫌い
濡れた砂を触らなくなった
汚れるのを嫌い
人と深く関わる事を止めた
汚れた自分を見たくなくて
部屋の鏡は不燃ゴミに出した
夢はあったはずなんだ
濃い霧が晴れた時
見えたのは現実だった
成りたい自分が居たはずなんだ
諦めたのは
誰かのせいじゃなく
夢を見ることに
疲れたからなのかな
目の前をふと
タンポポの綿毛が横切った
目で追いかけて
見つけたものは
どこか懐かしい
どこまでも透き通った
雲一つない青空
久々に見上げた
太陽が眩しくて
僕は一人
少しだけ頬を濡らした
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