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今僕の腕の中には弟が居る。しかし、不思議なことが起きた。体温など感じるはずもないのに温かい、そして、周りの視線…確実に僕を見ている。
下界では僕は幽霊なはずなのに、天国に居たままの姿で僕はここにいる。
いろいろと考えてるうちにパパとママが目の前に来て、弟を抱き上げた。二人は涙ぐみながら何度もありがとうと言った。
僕はここに居ちゃいけないんだと思い、そそくさとその場から去ろうとしたところ、突然ママが僕の名前を呼んだのだ。
僕はつい反応してしまい止まってしまった。
何故わかったのかが不思議でならなかった。後ろから抱きしめられ、久しぶりのママの温かさに僕は涙が止まらなかった。
僕は気持ちを抑えきれず、ママに抱き着いた。産まれたときからずっとこうしていたかった。
そして、すぐにパパも僕のことに気付いてくれた。
パパとママが抱きしめてくれてる。その時だ…空から声が聞こえた。神様なのかは知らないが、「もうすぐ戻る時間だ。」と言われた。
その瞬間、二人の体温が感じられなくなり、僕は徐々に薄れていく。
パパとママの声も聞こえなくなる…
それでも僕は力を振り絞って叫んだ…
「僕を産んでくれてありがとう!!」
そして、視界から消えた。
僕はちっとも悲しくなんかないよ。
だって、一夏の命ではあったけど、僕はパパとママの子供いれたんだから。
Fin
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