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「……おれはそれでいい」
嶺尾亮和は、幼稚園からのつきあいの西村直人に尋ねた。
「なら明日の14時に現地集合でいいね?」
直人が確認するように言った。
「ああ……。他のやつらにはおれが伝えておこうか?」
直人がうなずく。
「よし、わかった。じゃあまた……明日な」
学校の帰り道、そう言って亮和は小柄な直人の肩に手を置き、二人が出会ってから習慣となった挨拶を交わした。
片手で握手して、逆の手のこぶしを軽く合わせる。十数年のつきあいで、息はぴったりだ。
「じゃあな」
亮和はそう言って直人と別れた。
「さて、まずは泉水に電話するか……」
深呼吸をして携帯をポケットから取り出した。
そして目的の電話番号をアドレス帳から探した。
「泉水優佑」
中学から一緒のやつだ。友だちの中では一番背が高い。それに一番面白い。
亮和は発信ボタンを押した。
「……よし。……あ、もしもし泉水?明日カラオケ行くんやけどさ、泉水は――」
これは……なんの変哲もない学校生活を送る青年たちの物語……。
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