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『初めまして、代詠学園の諸君。突然だが君たちは人質になってもらう』
一瞬にして教室内に沈黙が流れた。
いきなりの事に脳がついていってないといった感じだが、そんなのはお構い無しだと言わんばかりにスピーカーの向こうに居る人物は言葉を続ける。
『我々には目的がある。従って、君たちには我々の目的の為に犠牲になってもらう』
「は?」
「一体何を……?」
先ほどとは打って変わって騒ぎ出す生徒たちだったが、それは一瀬たちも同じだった。
人質や犠牲など余り日常的ではない単語に現実味を感じる事が出来なかったのだ。
「人質とか犠牲とか…コイツ等何言ってんだ…?」
「な、なんかのイベントじゃねぇの?劇とか撮影とか…」
『ちなみに』
少しの間を置いて聞こえる声に、再び教室内ほとんどの視線がスピーカーへと向けられる。
『先ほど一つの部屋が爆発したと思うが…あれは我々が仕掛けた爆弾だ。あれと同じものが至る所に仕掛けてある』
「なっ……!?」
次にスピーカーから聞こえた言葉に一瀬たちは驚いた。
もしも男の言っている事が事実で、しかも至る所に爆弾が仕掛けられていると言うのならばこの教室にも爆弾があるのかも知れない。
一瀬たちは信じる事は出来なかったが、それでもショックの余り声を出す事も出来なかった。
『君たちがおかしな真似をしなければ爆発させる気はない……が、少しでもおかしな真似をしたら爆弾はランダムで爆発させる。
つまり、自し全く関係ない人が死ぬかも知れない。まぁそれでもいいなら好きにするんだな』
男の言葉に教室内は静まり返る。
教室内は今の状況を必死で把握しようとする者や、未だに信じてない者など様々だったが既に言葉を発する人は居なくなっていた。
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