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人質宣言の放送が流れてから三十分が過ぎようとしていた。
一旦放送が途切れてから一切の音沙汰がなく、逆にそれが一瀬たちの不安を増長させていた。
現に教室内では皆大人しく席に座り、不安そうに辺りを見回したり俯いている者が殆んどだ。
勿論それは一瀬も例外ではなく、一瀬は席に座ったまま何とか不安を紛らわそうと軽く首を回したりしていた。
(くっそ…人質とか爆発とか……なんで俺等が巻き込まれなきゃなんねぇんだよ…!?)
一瀬は小さく舌打ちしながら辺りを見回すと小さく溜め息を吐いた。
暗く重い雰囲気。
自分の命が掛かっているのだから仕方ないのだが、この状況を打破出来る様な術もない。
一瀬は何度目と知れぬ溜め息を吐いて再び窓の外へと目を向けた。
すると、一つの光景が一瀬の目に飛び込んでくる。
一瀬は思わず立ち上がり、見間違いでない事を確認するように何度も目を擦った。
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