日常が崩れる時

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  既にHRが始まっている時間、ここ代詠学園の事務室ではいつもの様に書類整理を始めていた。 定期券を発行する際に必要な証明書の作成や遅刻者の書類整理などいつもは大変な仕事も今日は余裕がある。 そんな中一人の事務員がふと顔をあげると不意に正門から入ってくる数名の人物の姿を捉えた。 その格好は全身が黒一色に近い色で他の色が余り見えず、また大きな荷物を抱えており不審者と見てもおかしくなかった。 「一体どんなご用件でしょうか?」 事務員が小窓を開けて対応すると、その対応に一人は口の端を上げ小さく笑いポケットから手を取り出し事務員の額へとその手を向ける。 一瞬何が起きたか分からなかったが、目だけを上に動かすと黒く、鈍い光を放つ物体が突きつけられていた。 「え……」 パシュッ!という空気音と同時に事務員の体は大きく揺れ、何が起きたかわからないまま事務員は後ろへと倒れる。 その光景を一部始終見ていたもう一人の事務員は一瞬動きが止まるが、すぐに異常を理解しすぐ傍にあった受話器を取った。 勿論その指は警察に連絡しようとしたのだが、その指がたった三つの数字を押すを事はなかった。 何故なら、再びパシュ!という空気音が響き事務員は小さく呻き声を上げるとそのまま床へと倒れたからだ。 二人の姿が視界から消え失せると男は持っていた銃をポケットへとしまい、後ろを振り返った。 「リーダー、終わったぜ」 リーダーと呼ばれた男が小さく頷き、右手を上に上げるとそれが合図かの様にそれぞれが散っていく。 その場に一人残ったリーダーと呼ばれた男は一度だけ未だに血を流している死体に視線を向ける……が、次の瞬間にはもう興味を失ったのか視線を外した。 そして、微かにだが確かにその顔に笑みを浮かべると男は静かに歩き出した。 しかし、これは単なる序章に過ぎない。 本当の惨劇はこれから始まるのだから───。  
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