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そして、ある場所に着いた。そこは、小さいときに、よく遊んでいた場所だった…
そこは、昔のまま静かに、時を過ごしてきたかのように、懐かしく、切なくあった…
『おぃ、ヒカルこっちきてみろよ。 懐かしいものがあるぞ。』
麗に呼ばれ、近寄ってみた。すると、幼いとき麗と二人で作ったブランコがあった。
すでに、壊れて、ボロボロになっていたが、懐かしい面影が残っていた。
『まだ、あったんだ。もうなくなってるものだと思っていたのに…懐かしい…。』
思い出に浸りながら、二人揃ってため息をついた。
お互い顔を見合わせ、笑った。
『さぁて、戻るか。そろそろ、道場に行く時間だ。』
『そうだな。戻ろう…。』
懐かしい場所を後にし、道場へ向かった。
『やっ、はっ』
道場の中から、声が聞こえた。
『オッス!麗さん。おはようごさいます。』
後輩たちが、そろってあいさつをしてきた。
『あれ?今日は、ヒカルさんと一緒だったんですか?まさか…。』
『バカ!そんなわけないだろ!ロイの散歩に行って来ただけだ。』
顔を赤らめ、話す姿をみて、私も少し恥ずかしくなった。
『やれやれ、朝から熱いね。お二人さん。羨ましいぜ。なぁ、ヒカル、麗なんかやめてさ、俺のものになんなよ。』
振り向くと、海が私の肩に手をやりそういって、麗を見た。
『おい!何言ってんだよ!ヒカルは、お前になんてやれるかよ!』
そういって、麗は、海を睨み付けた。
周りは、しんとなり後輩たちが、ざわめき、同僚たちは、いつものことかと、ただ眺めてみていた。私も飽きれ顔でみていた。その時、海がとんでもないことを口にした。
『そろそろ、本気できめるか。俺かお前か…俺は、本気でヒカルが好きだ。お前になんて負けない自信がある。お前は、どうだ?』
『俺だって、ヒカルが好きだ。誰にも渡さない。』
重い空気が漂いしんとなっていた。
『えっ!ちょっと待って!二人でなにいってんの?バカなこと言ってないで、練習始めな。』
『俺らは、本気だよ。ヒカル…。少なくとも俺は、本気だよ。
お前が好きだ。もし、次の全国大会で優勝したら、俺と付き合ってほしい…』
海は、真剣な顔をしていった。
そして、私をみた。
『俺だって本気だ。ヒカルを愛してる。ヒカル…全国大会で優勝したら、俺と付き合ってくれ!』
沈黙が続き、私は、驚きのあまり言葉が出てこなかった。ただ、二人を見つめていた。
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