突然

4/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
一分、二分?それ以上に、時が止まったように思えた。 『ヒカル?おぃ!』 麗に名前を呼ばれ、我に返った。初めて、麗に好きだと言われ、胸が高鳴った。恥ずかしさのあまり、麗の顔をまともに見ることができなかった。 『だ…大丈夫。ちょっと驚いただけだから… ごめん、麗先に帰る…。 明日、学校でね』 私は、あわてて外へ出た。何が起きたのか、頭の中が真っ白になった。 家に着いた私だったが、頭がぼう~っとして、母さんにただいまの挨拶もせずに、自分の部屋へ入った。 ベットに横になり、天井を見ながら、道場でのできごとを思い出していた。すると、窓をノックする音が聞こえてきた。 『コンコン!ヒカル、いるんだろ?入るぞ!』 麗だった。いつものように、ベランダのさくを飛び越え、窓から入ってきた。 何もなかったかのように、私のとなりに、横になり私の頭をなでた。 『何?何かよう?練習は終わったの?』 私は、起き上がって麗に問いかけた。 『まぁな。ただ言っておこうと思って… 俺、本気だから、お前のこと、ずっと言わなかったけど、小さい頃から、お前が好きだ。ずっと、そばにいたから、きずかないふりしてたけど、俺もあいつも本気だから… 大会見に来てくれ!ただそれだけいいに来た。 じゃ、明日な!』 そういって、出ていった。 私は、分からなくなっていた…。ずっと当たり前のように、小さい頃から、一緒にいて、幼なじみで麗のことなら何でも知ってた。 海だって同じ…麗よりは、後から知り合ったけど、幼なじみって感じで、恋愛って感じではなかった。 いつもは、ふざけてみんなの前で言っているのだとばかり思っていた。海まであんなことを口にするとは、思っていなかった。 当たり前すぎて二人がいつも一緒にいて、ふざけたり、笑ったりケンカしたりして、それが私にとって、心地よくて気付かなかった…いや、気付こうとしなかったのかもしれない。 今が壊れてしまうんじゃないかと怖くて、二人の気持ちから、目をそらして気付かないふりをしていただけ… 自分の気持ちが分からない… 二人をどう思っているのか… そのまま、眠れず、朝を迎えた。下から母さんの声が聞こえた。 『ヒカル~!起きてる?朝ごはんできたわよ。早く降りてきなさい。』 ぼんやりしたまま、私は、制服に着替え始め、学校に行くしたくを整え、降りていった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!