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一分、二分?それ以上に、時が止まったように思えた。
『ヒカル?おぃ!』
麗に名前を呼ばれ、我に返った。初めて、麗に好きだと言われ、胸が高鳴った。恥ずかしさのあまり、麗の顔をまともに見ることができなかった。
『だ…大丈夫。ちょっと驚いただけだから…
ごめん、麗先に帰る…。
明日、学校でね』
私は、あわてて外へ出た。何が起きたのか、頭の中が真っ白になった。
家に着いた私だったが、頭がぼう~っとして、母さんにただいまの挨拶もせずに、自分の部屋へ入った。
ベットに横になり、天井を見ながら、道場でのできごとを思い出していた。すると、窓をノックする音が聞こえてきた。
『コンコン!ヒカル、いるんだろ?入るぞ!』
麗だった。いつものように、ベランダのさくを飛び越え、窓から入ってきた。
何もなかったかのように、私のとなりに、横になり私の頭をなでた。
『何?何かよう?練習は終わったの?』
私は、起き上がって麗に問いかけた。
『まぁな。ただ言っておこうと思って…
俺、本気だから、お前のこと、ずっと言わなかったけど、小さい頃から、お前が好きだ。ずっと、そばにいたから、きずかないふりしてたけど、俺もあいつも本気だから…
大会見に来てくれ!ただそれだけいいに来た。
じゃ、明日な!』
そういって、出ていった。
私は、分からなくなっていた…。ずっと当たり前のように、小さい頃から、一緒にいて、幼なじみで麗のことなら何でも知ってた。
海だって同じ…麗よりは、後から知り合ったけど、幼なじみって感じで、恋愛って感じではなかった。
いつもは、ふざけてみんなの前で言っているのだとばかり思っていた。海まであんなことを口にするとは、思っていなかった。
当たり前すぎて二人がいつも一緒にいて、ふざけたり、笑ったりケンカしたりして、それが私にとって、心地よくて気付かなかった…いや、気付こうとしなかったのかもしれない。
今が壊れてしまうんじゃないかと怖くて、二人の気持ちから、目をそらして気付かないふりをしていただけ…
自分の気持ちが分からない…
二人をどう思っているのか…
そのまま、眠れず、朝を迎えた。下から母さんの声が聞こえた。
『ヒカル~!起きてる?朝ごはんできたわよ。早く降りてきなさい。』
ぼんやりしたまま、私は、制服に着替え始め、学校に行くしたくを整え、降りていった。
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