僕らのすれ違い

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「そっかそいつはウケるなっアハハ。 でも理事長の息子なんだろ? 仲良くなっておいた方が色々助かるんじゃない?」 「それ誰かも同じこと言ってたな…。 あっ!そうそうっ、今日あの虎次郎ってお祖父さんとこ行ってきたんだよ。」 思い出したように言うアラタ。 その名前を聞くとカツヤは表情が堅くなった。 「…なんで?」 「なんかまだ余裕がないだろうからって毎月生活費も出してくれるって。 あと生活費だけじゃなくてもお金が必要な場合はいつでも貰いに来なさいだって。 あの人意外といい人だったよ。 暇な時はいつでも遊びに来なさいって言ってたし。 今度二人で遊びに行こう兄ちゃんっ。」 アラタは無垢な笑顔でカツヤに言った。 「…俺は行かない方がいいな。 アラタは父さんに似ているから気に入られてるんだよ。 俺は親戚達の大嫌いな母さんにそっくりだからな。 それに父さんは一応長男だから、あの祖父さん的には、ゆくゆくはアラタに自分の会社任せたいんだよ。 だからわざわざあの金持ち中学に通わせてるんだと思うよ。」 冷静にカツヤは言った。 カツヤは昔からなかなか頭の切れる男だった。
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