カツヤの変化

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1ヶ月前― 虎次郎宅― 『珍しいですね…。俺を呼ぶなんて。』 カツヤは虎次郎を見据えて言った。 『まぁまぁ。取り敢えず座りなさい。』 相変わらずにこやかな虎次郎。 『…失礼します。 それで用件は?俺にもおこずかいくれるんですか?』 皮肉を言うカツヤ。 『アラタ君のことだがね…。 あっと言う間にもう中学3年になったよね。 そして来年は高校生だ。』 『…何が言いたいんですか?』 『高校はね、今通っている中学の付属高校にそのまま通わせたいと思っている。』 『それで?』 『その高校は男子校でね。 全寮制なのだよ。 なのでアラタ君は寮に入ってもらうつもりでいる。 一応保護者の君にまず了解を得ようと思ってね。』 微笑む虎次郎。 『そんな勝手な!』 慌てるカツヤ。 確かにアラタの高校進学の事は少し悩んでいた。 しかし寮に入れば余計離ればなれになってしまう。 想像するだけでカツヤには耐えられなかった。 『君の収入でちゃんとした高校に通わせられるのかい? こっちは色々と援助しているんだから。 それくらい考えればわかるよね? 素直に承諾してくれれば、これからも援助させてもらうよ。』 表情を変えずに言う虎次郎。 しかし目は笑っていなかった。 (意見さえさせてくんねぇのかよ…) カツヤは悩んだ。 しかし今の援助がなければ学校どころか生活さえ出来ない。 言うことを聞くしかなかった。 .
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