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「…斎藤アラタです。
よろしくぉ願いします。」
アラタは新しいクラスにやはり無表情で挨拶する。
アラタの綺麗な顔に反して、鋭い眼球に恐い雰囲気。
クラスの男子達は圧倒されていた。
(言い忘れたが中学も男子校である。)
「じゃあ斎藤君は窓側の端に座ってね。」
空いている席を指差す金井先生。
素直にアラタは席に座った。
するとアラタが座ったと同時に前の席の男子がアラタの方を向いて来た。
「よっ。俺は木崎ノブヒコっ。
よろしく~。アラタって呼んでいい!?
俺のことはノブヒコでいいからっ。」
ノブヒコだった。
くせっ毛で栗色の髪。
ハーフのような顔立ち。
まだこの頃は今より背は低くて華奢であったが、背の順も後ろの方で、どんどん伸びている時だった。
「えっ?あっ…あぁよろしく…。」
ノブヒコの明るさに戸惑いつつアラタは言った。
放課後―
「ア~ラタっ!
学校案内してやるよっ。」
ノブヒコはいきなりアラタに抱きついた。
(なんだ!?///
男子校ってこんなスキンシップ激しいのか!?)
戸惑うアラタ。
本来人見知りな方なので、こんなことをされると余計身構えてしまうようだ。
「…いやいいよ。今度僕1人で適当に把握しておくからっ。」
アラタは自分からノブヒコを剥がしつつ言った。
「…『僕』だってっ。
アラタ可愛いなっ。
自分の顔に似合ってないぞっアハハっ。」
ノブヒコはアラタをからかった。
まだこの前まで小学生だったんだからしょうがない。
しかし案の定アラタは奮闘する。
「…うるさいなっ!///
おっ俺のことなんかほっといてくれよ!!」
「やだねっ。
俺さっ、綺麗なモノ大好きなんだよねっ。」
いきなりノブヒコは、アラタの頬を撫でてアラタの顔を覗きこむ。
突然のノブヒコの言動に顔が真っ赤になって焦るアラタ。
「おっお前ホモかよ!?」
「ううんバイ♪
男女問わず綺麗な人がいるとさっ、権力使ってでも欲しくなるんだよね~。
あっ、言っとくけど俺この学校の理事長の息子だからっ。
よろしくねっ♪」
アラタは驚きすぎて呆然としてしまった。
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