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執事のような者に、奥の和室に案内されるアラタ。
中に入ると、和服を着た祖父虎次郎が新聞を読んでいた。
「あぁ。アラタ君、こちらに来なさい。」
アラタを見るとにっこり微笑んで虎次郎は手招きした。
「はい。」
素直に虎次郎の近くに行くアラタ。
「どうだい学校は。
上手くやって行けそうかい?」
「はい。」
相変わらず無表情なアラタ。
「そうか。あそこの理事長と私はちょっとした知り合いでね。
家の事情とかも言ってあるから。
色々と考慮してくれるはずだから安心して通いなさいね。」
「理事長…?そう言えばその理事長の息子と今日話しました。
一緒のクラスでした。」
「そうかそうか。
偉いぞ。色々助かるから、もっと仲良くしておきなさい。
アラタ君はお父さんに似て賢いな。
…顔も、お父さんにそっくりだ…。」
虎次郎は、懐かしむようにアラタを見つめて、アラタの頬をさすった。
(今日頬触られるの二回目だ…)
なんとなくそんなことを考えていたアラタは、虎次郎を見つめた。
よく見ると虎次郎も自分の父に似ている。
父が老けたらきっとこんな風になるのだろう。
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