snow

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樹の根の窪みから赤ん坊の泣き声が聞こえていた 白い山の麓 霧の中、行き交う人は国境を超えることばかり考えその泣き声には気付かない 例え、気付いたとしても誰ひとり手を差し延べようとはしなかった 最後の親心か、樹の根元にある窪みの間におかれた幸運か、根の幹が盾になり、野性動物から守られ、樹の養分を幹から吸い、赤ん坊は人知れずいつの間にか少年へと成長していた
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