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初めて彼女と出逢ったとき。
彼女はとても痩せていて、可憐で美しかった。
「大丈夫?」
初めて彼と出逢ったとき。
彼は少しぷっくりしていて、その手はとても美味しそうだった。
「平気」
そう言った彼女は今にも折れそうなほど細くて華奢で、さっきから数歩あるいては、ぺたりと地面に座りこむ。
そんな姿を見せられていてはとても平気そうには思えない。自然手を貸したくなる。
花畑で座り込んでしまった彼女に僕はそっと手を伸ばした。
「ありがとう」
彼女が僕の手をとって微笑んだ。冷やりとする手の感覚。彼女の微笑みがひどく美しくて。
僕は彼女の手の冷たさなんかきにならなかったんだ。
僕は彼女を支えるようにして一歩ずつ踏みしめるように歩いた。
さらり、と落ちてくる髪の毛を手で避ける動作に思わずドキリとする。彼女の動き、一挙一動全てが流美で綺麗だった。
赤い唇、長い睫に。憂いを帯びた目。スラッとのびた鼻立ち。端整に造られた人形のよう。
ふいに彼女が見上げて目があった。
―ッ!
その瞬間僕の鼓動は跳ね上がった。
ドキンドキンと早鐘のように鼓動が高鳴る。
彼女の瞳に表情に惹き込まれる。
僕は彼女に恋をした。
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