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深い闇が辺りを覆っていた。家家の明かりもほとんどない。そのぶん、小さいながらも星の明かりはくっきりとしていた。
「はっ!」
短い掛け声とともに空気の裂ける音があがった。
「小賢しいな…」
小さく響く青年の声。
青年と少女が何か人型のモノを追っているようだ。
「捕らえてみる」
少女はそういうと、身の丈ほどもある槍を横にひとなぎする。
ヒュッという音とともに、青白い光を放つ文字列が幾つも現れ、人型のモノを捕らえようとする。
「今だ!」
「ぐァアぁ!?」
青年が振りかざした斧が、見事に人型のモノに当たった。
すると、青年の斧からも青白く光る文字列が現れ、人型のモノを縛り上げていく。
そして、文字列が砕けるように消えると、人型のモノも砕け散った。
「浄化完了」
「お疲れさま」
駆け寄ってきた少女が青年に声をかけた。
「すばしっこかったけど、低階級のやつだよね」
「ああ、そうだね。拘束の呪をうまく使ってくれたから、助かったよ」
「えへ」
称賛の言葉に少女は笑みをこぼした。
「ここにいても仕方ないし、早く帰ろう」
「うん」
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