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鏡に映る自分に文恵はため息を一つ洩らす。
窓がないこの部屋の中にため息は行き場がなく 気だるげに漂っているようだ。
「また ため息ついちゃって」
背後にはシャワーを浴びて ほんの少し火照った顔をさせた充が皮肉気に笑っている。
「また こんな男と寝ちゃったって 後悔してるんだな」
充はミネラルウォーターのペットボトルを飲みながら ベッドの上に胡座をかいた。
文恵は気持ちを見透かされ 悔しい気持ちもあったが だらしない格好をしていても 何気なくさまになる充から目が離せない。
長身で無駄な贅肉が一つもなく 若くひきしまった体は一つのオブジェのようだ。
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