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隙間を抜けると一気に視界が開き、一瞬だけ陽の光に目を焼かれる。
すぐに目がそれに慣れ、だんだん見える様になって来た。
まず遠くに広場が見えた。
竜車を引いていた草食竜、アプトノスが草を食んでいるのが遠目にもわかる。
さらに遠方には高い山があり、山頂付近から水が落ちていて、青い線に見える。
「キレイだろ?人の手が掛かって無い自然ってのはさ」
感嘆の息を漏らす前に、ガウェインが言った。
「はい。俺がいた村じゃこんなの見られなかったです」
ランスロットは感嘆の息の替わりに感想を言葉に変えた。
「そうかい。あたしもハンターになる前はこういう世界がある事も知らなかったからね」
昔を懐かしむ様にガウェインが言い、
「さて、それじゃあ行こうか」
そう言って歩き出した。
さっきとは逆に、ゆっくりと。
少し進むと下にアプトノスが三頭集まっているのが見えた。
ガウェインが人差し指を口の前に持って行き、静かにアプトノスに接近する。
群れの内の一匹がガウェインに気付き、川の対岸に逃げる。
それを無視し、急加速して別のアプトノスに肉薄する。
距離がほぼ一歩になった所で腰に手を回し、ハンマーの柄を握る。
そして右踵を地面に杭の様に刺し、右に回転しながら脇に構え、一息にアプトノスに叩き付ける。
赤熱した棘が皮を容易に貫通し、肉に突き刺さり、血がその傷口から溢れる。
打たれた衝撃でアプトノスは倒れ、起き上がろうとしてもがく。
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