第一幕 来たれ、 新人狩人!

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本に視線を戻して少しした所で、先程と同じ様に影が掛かった。 顔を上げると、ガウェインが何かの入った、一抱え程もある袋を持っていた。   「よ。大体は読んだか?」 袋を足元に降ろしながら言った。 床に接した瞬間、ガチャガチャという金属が擦れ合う音がする。   「粗方、どころか殆ど進んでませんね」 そう答えながら開いているページを見せる。   「ふんふん。まあ、そのあたりまで進んでりゃあ大丈夫だろ」 そう言うが早いか、降ろした袋を開いた。 中を覗き込むと、何かの皮と金属板が組まれた物が見えた。   「なにが大丈夫なんですか?」 「今から狩り場に行く」 「はい?」 「聞くのは大事だが、あんまし聞き過ぎるのもよくない。少しは自分で考えな」 言われて、少しだけ考えた後、 「……何故に狩り場に?唐突過ぎる」 そう答えた。   「ま、すぐに判る訳も無しか。要するに実地演習だ」 言い終わると同時に、袋の中身が見えた。   焦げ茶色の皮が全体を粗く覆い、胸部や脛、関節には銀色の鉄板が加えられた、 「……鎧?」 だった。 胴体部分だけではなく、兜に手甲、腰に巻く物、脚甲。全身を覆い尽くすには十分な物が揃っていた。   ガウェインは素早く人差し指をランスロットに向け、 「ご明察!」 そう言った。   「こいつはハンターシリーズっていう、大抵のハンターはまずこれを揃える所から始める。いわば第一目標だね」 ガウェインはそう言って胴の部分を掴み、ランスロットを立たせた。   「何を……」 するのか、と聞く前にガウェインが口を開いた。   「これはあんたの鎧だ。あたしから、ハンターになるあんたへの前祝い。受け取ってくれ。 あと、着方が判らないだろ?あたしが着させてやるから黙って着る」 ガウェインはそう言いながら既に胴に腕を回していた。 ランスロットはなにか言おうとしたが、止めた。  
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